クラウド移行 自社ITチームのクラウドジャーニー準備段階を評価する

クラウド移行 自社ITチームのクラウドジャーニー準備段階を評価する

AWS移行前に自社のIT チームの準備段階を評価する方法を紹介します。
Clock Icon2020.02.10

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こんにちは。
ご機嫌いかがでしょうか。
"No human labor is no human error" が大好きな吉井 亮です。

これからクラウド移行を考えているご担当者、
実際に移行計画を作成し始めているがどこから手をつけていいか分からないご担当者のために
IT チームの準備段階を評価する方法を紹介します。

クラウド移行の準備

すでに多く企業がパブリッククラウドを利用し
ビジネスにおける IT の価値を高めています。
今後は社内の基幹と呼ばれるシステムがクラウドへ移行するであろうと感じています。

ガートナー、クラウド推進に当たって留意すべきトレンドを発表 にあるような課題をお持ちの担当者を少ないないと思います。

1.本物のクラウドであっても丸投げしようとし、想定外の見積もり金額を提示される
2.クラウド化することで絶対にコストを削減できると経営者が信じ、クラウドを推進しようとしている
3.担当者がアカウントを取得するまでに3年かかっている
4.現場エンジニアが自費で書籍を購入したりトレーニングを受講したりしている
5.サービス部品レベルの概念実証 (POC) (という名の評価) を行おうとしている
6.基幹系システムをクラウド化できるか、そのメリットは何か、といった質問を今でも繰り返している
7.クラウド化で、サーバレスやコンテナ/マイクロサービスが使えないかといった議論をしている
8.モード1のクラウド化の議論だけで、モード2やデジタルの議論をほとんどしていない

https://www.gartner.com/jp/newsroom/press-releases/pr-20181211 より引用

ここにあるような課題を抱えたまま AWS を単なる IaaS 基盤、データセンターの置き換えとして利用すると
メリットを享受できずに、経営陣に失望を与えるかもしれません。

AWS の数多くの機能を組み合わせて IT システムをモダナイズしたいと考えていても
何から手を付けて良いかわからない、どのようなアプローチをしていいかわからない、何を準備すればいいのかわからないという担当者の悩みは自然なものです。
(上の悩みをお持ちの方、ご安心ください。あなただけではありません。)

移行準備の評価

自社のシステムをクラウドへ移行する経路は「クラウドジャーニー」と呼ばれることがあり
以下の図で示されます。

https://docs.aws.amazon.com/prescriptive-guidance/latest/migration-readiness/understanding-current-state.html より引用

図に示された通りの移行を計画・実施するためには
自社の IT チームの強みと弱みを把握し
クラウド最適化とのギャップを分析し
アクションプランを作成・実行し、
早期に解決することが求められます。

MRA

AWS では Migration Readiness Assesment (MRA) tool が提供されています。
MRA tool では AWS Cloud Adoption Framework に合わせた 79 の質問が用意されており
質問を5段階の成熟度で回答すると、レポートが作成されます。

質問リスト

6つの重点分野とサブグループで構成されており
重点分野ごとに議論が可能な構成になっています。

  • ビジネス
    • IT ガバナンス
    • IT サービスデリバリーモデル
    • Cloud Objectives
    • サプライヤー・マネジメント
    • バリュー・マネジメント
    • IT 戦略
    • コスト・マネジメント
    • リスク・マネジメント
    • ベネフィット・マネジメント
    • ポートフォリオ・ガバナンス
  • ピープル
    • 組織の構造
    • ロールとジョブの定義
    • スキルとコンピテンシー
    • トレーニング計画
    • 人員配置
    • 組織的な変更管理
  • ガバナンス
    • ポートフォリオ・マネジメント
    • サービスデリバリー・マネジメント
    • プログラム&プロジェクト・マネジメント
    • CI/CD
    • プロセスの自動化
    • 品質マネジメント
  • プラットフォーム
    • 概念的アーキテクチャ
    • 論理的アーキテクチャ
    • アーキテクチャの実装
    • アプリケーション・マイグレーション・パターン
    • クラウド設計原則とパターン
    • アーキテクチャの最適化
  • セキュリティ
    • セキュリティ戦略
    • セキュリティ リファレンスアーキテクチャ
    • ガバナンス、リスク、コンプライアンス
    • セキュリティ機能のライフサイクル
    • DevSecOps 原則
    • セキュリティ運用手順
  • オペレーション
    • クラウド サービス・マネジメント
    • SLA/OLA 戦略
    • BCP
    • インシデント・マネジメント、問題管理
    • 変更管理、構成管理
    • パフォーマンスとオペレーションヘルス
    • アセット・マネジメント

レポート

レポートでは解決するべきアクティビティと意見、アクションの表示が可能です。
アクティビティの優先順位付けを行います。

ヒートマップ

以下のようなヒートマップにより
強みと弱みが把握しやすくなります。

MRA で明らかになること

現在の状態が判る

IT チームがクラウド最適化された状態と比較して
どのレベルにいるかのが判明します。

強み弱みの領域が判る

強みは、クラウド最適化の準備がすでにできている、追加の準備タスクがそれほど必要としていない領域です。

弱みは、改善の余地がある領域です。
ここを克服することで、移行プロセス全体が滞りなく進行し、
プロジェクト期間中、および、運用開始後の不確実な要素を減らします。

成熟度の計測

初回の評価以後、定期的に再評価をすることで IT チームの成熟を計測可能になります。
成熟度を測りながら計画を見直していくことで
最新かつ現実的な計画を保持することが可能です。

評価プロセス

評価は以下のステップを進行します。

  1. 評価会議を設定し、関係者のスケジュールを調整します。
  2. MRA tool 一連の質問を使用して活発で建設的なディスカッションを行います。
  3. ディスカッションの結果を分析します。
  4. Next Action を計画します。

大勢の出席者と長い時間を使ってディスカッションを行います。
出席者の調整がつけば1日かけて会議することもできますし、
重点分野ごとに出席者と日程を分けることもできます。

組織全体を考えて合意に向けて広い考え方ができるリーダーを
出席者に加えると実りのあるディスカッションになるはずです。
他にもモチベーションが高く前向きなメンバーにも参加してもらいます。
「誰をバスに乗せるか」が大切です。

まとめ

MRA tool では、クラウドジャーニーへ向かう企業の現在の状態を分析し
旅の準備を整える手助けをします。
リアルな旅行でいう日程表・工程表を作るようなものです。

仮想サーバーの EC2 化、DB クラスタの RDS 化をいきなり考える前に
クラウドジャーニーのゴールをどこに置くかを考えてみてはいかがでしょうか。
MRA tool で評価を行うと、一定の計画・戦略をもってクラウド移行を遂行していけると考えます。

MRA tool は AWS または移行コンピテンシーを持った AWS パートナーの支援があると効果的です。
移行の企画計画段階でお悩みであればご相談ください。

試してみたい方は AWS Cloud Adoption Readiness Tool へアクセスください。
MTR tool から抜粋した16の質問で自己評価を行うことができます。

一部検証評価目的で AWS をご利用されている方でも一度この MRA tool で評価を行ってみてはいかがでしょうか。
ゴールを再確認する意味でも、検証評価の手順正当性を確かめる意味でも有用だと考えます。
※ すでに AWS を大規模で利用されている方は AWS Well-Architected フレームワークによるアセスメントをお勧めします。

参考

AWS Prescriptive Guidance
Evaluating Migration Readiness
AWS Cloud Adoption Readiness Tool
Migration Readiness Assessment Tool (要ログイン)
AWS Cloud Adoption Framework

以上、吉井 亮 がお届けしました。

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